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3月3日をどのように過ごされたでしょうか?
私には3月3日を迎えるたびに思い出す忘れられないお話があります。
福岡の南蔵院というお寺のご住職の講演会で聞いたお話です。
その当時28歳になったお母さんが、朝日新聞に投稿された、子どものころの、ひなまつりの思い出。
私は、4人姉妹の長女として育ちました。小学校3年生の時、友だちが「ウチは大きなお雛様を買ったよ。あなたのおうちは女の子が4人もいるから、さぞかし大きなひな人形があるのでしょうね?」と言いました。
自分の家は貧しくて人形を買うようなお金はないという答えが、素直に言えなくて、家に帰ってからそのことをお母さんに話しました。すると、お母さんが、「ウチにはかわいいお雛様が4人もいるから母さんは人形なんかなくてもいいんだよ。」と言ってくれました。
そして、風呂上がりの4人の娘をひな壇に見立てた風呂敷の上に並べて、「みんな可愛い。ウチのお雛様はどこの家の人形よりも一番可愛い」と言ってくれました。それがとても嬉しくて、それだけで私たちはとても満足しました。
その後、みんなで折り紙で着物をつくり、顔を描いてくっつけて、大きな段ボール箱に段々にはり付けて飾りました。
それから、これが我が家のひな人形となって、何年もの間、桃の節句を祝ってくれました。高価な人形よりもこの不揃いなお雛様のほうが私たち姉妹にはよかった。
お母さんは、私たちにお金では買えないものをふんだんに与えてくれた。子どもの心をいつも明るく受け止めてくれた。
感謝の思いを込めて、今書きます。
この投稿文を読まれた後に、林覚乗住職は、このようなことをおっしゃいました。
このお母さんの知恵と心の豊かさによって娘さんたちもまた心豊かに育っていかれたことでしょう。
もしも、娘さんの話を聞いたお母さんが、「一生懸命働いて友だちの家よりももっと大きなお雛様を借金してでも買ってやろう。」などと言って人形を与えていたら、与えたものは立派で豊かなのかもしれないが、人と比べることでしか幸せを感じられない、心の貧しい人間に育ってしまうのではなかろうか。
きっと、それでは娘さんたちは満足していないと思う。人形よりもあなたたちのほうが可愛いと言ってやることのできるお母さんの心の豊かさによって、娘さんたちは満足したのでしょう。
我が家は、女の子がいませんので、桃の節句にひな人形を飾ることはありませんが、3月3日になると、このお話を思い出して、私も心豊かで人に何かを与えられる人間になりたいと、いつも思うのです・・・
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